コラム

  • 公開日:2017.05.19
  • 更新日:2017/05/19

産業廃棄物収集運搬業 許可取得のポイント

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一 どのようなビジネスに産業廃棄物収集運搬業許可が必要でしょうか?

1 他人の事業上発生した廃棄物を排出場から産業廃棄物処分場等へ運搬するビジネス
2 他社が元請の建設現場の下請け業者が、現場で発生した廃棄物を産業廃棄物処分場へ運搬する場合
3 自社が元請の建設現場で発生した廃棄物を産業廃棄物処分場へ運搬する場合は、産業廃棄物収集運搬業許可は必要ありません。

二 許認可手続きの概要

1 値段(1自治体あたり)

⑴ 実費
申請手数料(申請に際して申請先自治体に支払う手数料)81,000円(新規申請の場合)
会社登記簿謄本 600円
住民票等 600円(役員1名あたり)
納税証明書(3期分) 1,200円
合計 83,400円(役員1名の場合)

⑵ 行政書士代行報酬
100,000円

⑶ 総額
183,400円(新規申請・役員1名の場合)

2 許可が出るまでの期間
→申請から60日(東京都の場合90日ほどかかる場合がございます)

3 許可申請に関しての主な注意点

⑴ 申請先

産業廃棄物収集運搬業許可申請は、産業廃棄物の排出事業所のある自治体と、産業廃棄物の運搬先の産業廃棄物処分場等のある自治体に行う必要があります。
例えば、産業廃棄物の排出事業所が東京都にあり、産業廃棄物の運搬先の産業廃棄物処分場が千葉県にある場合は、東京都と千葉県に許可申請を行う必要があることとなります。

⑵ 欠格要件

産業廃棄物収集運搬業許可申請をした場合、申請した会社の役員・株主等に欠格要件があるときは許可が下りません。
産業廃棄物収集運搬業許可申請を行い、申請が受け付けられた場合はその場で申請手数料81,000円を申請先自治体に支払います。この支払いの後に申請した会社の役員・株主等に欠格要件があることが判明して不許可となった場合、支払った81,000円は返金されませんので注意が必要です。


申請した会社の役員・株主等が次のような者である場合は欠格要件に当たります。

① 成年被後見人、被保佐人、破産者で復権を得ていない者
② 禁固刑以上の刑の執行終了後5年を経過しない者
③ 禁固刑以上の刑の言い渡しを受けて執行猶予中の者
④ 傷害罪等による罰金刑の終了後5年を経過しない者
⑤ 傷害罪等による罰金刑の言い渡しを受けて執行猶予中の者
⑥ 産業廃棄物収集運搬業許可等、廃棄物処理業法上の許可を取り消されてから5年を経過しない者
⑦ 産業廃棄物収集運搬業許可等、廃棄物処理業法上の許可を取り消された法人の役員・株主等であった者で、取り消されてから5年を経過しない者
⑧ 暴力団員である者
⑨ 暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者

⑶ 認定講習会の修了証
産業廃棄物収集運搬業許可申請をするに際しては、会社の役員のいずれかが、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが主催する認定講習会を受講し、その修了証を取得することが必要です。


⑷ 会社に使用権のある車両の保有

産業廃棄物収集運搬業許可申請をするに際しては、会社に使用権のある車両を
保有していることが必要です。具体的には、車検証の使用者欄が会社名義になっている車両を保有していることが必要となります。

⑸ 会社が確定申告を行っていること

産業廃棄物収集運搬業許可申請をするに際しては、原則として直近の3事業年度に関する確定申告を行っている必要があります。

⑹ 会社の目的

産業廃棄物収集運搬業許可申請をするに際しては、会社の目的から産業廃棄物処理業を行う旨が読み取れる必要があります。自治体によっては、会社の目的に産業廃棄物処理業を行うことを明確に定めることを求めるところもあります。
このような定めが欠けている場合、産業廃棄物収集運搬業許可申請を受付けてもらえません。そして、会社目的は登記事項なので、会社の目的に産業廃棄物処理業を行う旨の定めを追加する場合は登記変更が必要となり、登記変更手続きに際して法務局に登録免許税30,000円を支払うこととなります。将来産業廃棄物収集運搬剛許可が必要なビジネスを行う可能性がある場合は、会社設立に際しては注意が必要です。このような場合は、許認可手続きに精通している行政書士に相談することをお勧めいたします。

特定行政書士 花谷 好信